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『剣魂歌心』- 古代日本のロマン編

 前コラム「万葉のこころ編」を先輩と監修している時の会話です。

「ところで先輩、万葉集が一番古い詩集なら、一番古い和歌ってなんですか?」
「確か古事記に出てくる素戔嗚尊が詠んだ…」
「あっ…?!!」

この会話が「古代日本のロマン編」の始まりとなりました。

 武士が現れた平安時代より遥か昔の古代日本の神代、日本最初の『武』の神さま素戔嗚尊(スサノオノミコト)が『和歌』の神様だったことに私は気が付きました。
『武』と『和歌』は同じ神さま、素戔嗚尊がルーツだったのです。

 古事記にある素戔嗚尊の神話は、たいへん有名な昔話なので皆様ご存じかと思います。

 神々の住む世界「高天原」で乱暴な振る舞いをした素戔嗚尊は、お姉さんの天照大御神さまに怒られて追放され、出雲の国に流れ着きます。そこで巨大な蛇の怪物:八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治して、生贄だった櫛名田比売(くしなだひめ)を救い、神剣:天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ、別名:草薙の剣)を手に入れました。

 この神剣は、素戔嗚尊が使っていた名刀:十握剣(とつかのつるぎ)が刃こぼれする程の業物。そこで素戔嗚尊は、天叢雲剣をお姉さんの天照大御神さまに献上した後、櫛名田比売と結婚して新居を構え日本初の和歌を詠いました。

『 八雲立つ 出雲八重垣 妻籠に 八重垣作る その八重垣を 』

【意味】
幾重にも雲が立ち上がる出雲の地で、妻と暮らす家のまわりに八重垣を巡らしたのだ。あの雲のように。

 先輩と私は、この素戔嗚尊が八岐大蛇を退治して櫛名田比売と結婚する神話に登場した「神剣:天叢雲剣」と「日本最古の和歌」が『剣魂歌心』のルーツでは?と思わず興奮、古代日本の『武』にロマンを感じてしまいました!

▼ヤマタノオロチ伝説
http://jump.cx/KYy0C

※参考に武道道場にある掛け軸「鹿島大明神」こと建御雷神(タケミカヅチノカミ)は、高天原の武神で、雷神であり剣の神であり、相撲の元祖の神でもあり、素戔嗚尊から6代目の因幡の白ウサギで有名な大国主(出雲大社)との国譲り段で登場します。

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 その後、天照大御神は天孫降臨に伴い神剣:天叢雲剣を皇室の「三種の神器」の一つとして地上に降ろされました。

 時は流れて第十二代:景行天皇の御代、勅命を受けて東征するヒーローの日本武尊(ヤマトタケルミコト)は、道中で倭姫命(ヤマトヒメ:伊勢神宮の創建者)より神剣:天叢雲剣を授けられました。

 日本武尊は、この神剣のお蔭で相模の国の戦では窮地を脱しますが、伊吹の悪神との対決では天叢雲剣を帯刀しなかったために敗れ、命を落としてしまいます。その時の日本武尊の歌が次の通りです。

『 大和は国のまほろば たたなづく青垣 山ごもれる 大和し うるはし 』

【意味】
大和は母なる国、幾重にも重って青々とした山々に抱かれた大和は、何と美しい国だろう!

 これが初めて詠われた辞世の句であり、後の武士の「辞世の句」の慣わしは、もしかしたら日本武尊に倣ったのかもしれません。

 そして、私たち高見空手の原点である大山倍達総裁の碑は、秩父市の三峯神社の日本武尊の像の脇に設置されております。神代から続く日本の『武』の歴史。大山総裁の碑が日本武尊像の脇に設置されたことに、私は不思議な因果を感じてしまいました。

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 実は昨年、京都で行われた極真祭の終了後、様々なことで葛藤していた私を見かねた友人が、気分転換に「お伊勢参り」を勧めてくださいました。丁度、伊勢神宮では、20年に一度の式年遷宮が行われていたため、私は愛媛に帰る前に伊勢神宮に寄って参拝させて頂き、伊勢うどんと赤福を食べて来ました。
たいへん美味しかったです。ご馳走様でした。

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 この参拝以降、様々な変革があって高見空手の発足へとなっていきます。そして恐れ多いことですが、20年おきに新たに社殿を造り替える伊勢神宮の式年遷宮の神事に、高見空手のシンボルマーク「鷹」の‘新たに生まれ変わる決断’の意に共通点を感じた次第です。

▼鷹の選択

 このことを先輩にお話したら
「鷹マークを初めて見た時、八咫烏と勘違いしたよ」と笑ってました。そう言われたら確かに似てますよね。ちなみに八咫烏は、サッカー日本代表のマークになった熊野本宮大社の素戔嗚尊の神使です。

▼八咫烏
https://goo.gl/RLu5XD

 いつの日か、私は伊勢神宮に高見空手の発足御礼の参拝に行き、更に足を延ばして世界遺産の熊野古道を歩き、日本初の『武』の神さま素戔嗚尊の祀られる熊野本宮大社で高見空手の『拳魂歌心』をご祈願したいと思います。

 素戔嗚尊の八岐大蛇の退治の神話における「神剣:天叢雲剣」と「日本最初の和歌」こそ『剣魂歌心』の始まり。

 天叢雲剣(別名:草薙の剣)を帯刀せずに敗れた大和武尊の歌が武士の『辞世の句』の始まり。

 これは学説でなく、あくまで私個人の仮説、と、言うよりも素戔嗚尊から始まった日本武道へのロマン(歌心)です。皆さまにも太古日本の神話の時代の『武』に想いを馳せてロマンを感じていただけたら嬉しいです。

『 拳魂歌心~ロマンチック(歌心)が止まらない~ 』 高見 彰

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